株式投資で毎月お金が入ってきたら、ちょっとうれしいですよね。
配当金や分配金が入金されるたびに、「今月も頑張ってくれたな!」と投資の楽しみが増えるものです。
今回紹介するのは、2026年4月に東京証券取引所へ上場したETF、グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF(563A)です。
このETFは、米国のNASDAQ100に関連する投資を行いながら、オプション取引を活用して毎月の分配金を目指すという、少し変わった仕組みを持っています。
2026年10月までに公表された分配金は、100口当たり900円から1,400円。なかなか魅力的な数字ですが、ここで「毎月たくさん分配金がもらえるなら、これだけ買っておけばいいのでは?」と考えるのは少し早いかもしれません。
分配金の仕組みを理解せずに購入すると、毎月お金を受け取っている一方で、投資元本が減っていた……ということもあり得るからです。
今回は、563Aの構成銘柄、分配金の実績、今後の見通し、メリット・デメリット、そして投資判断について、初心者にもわかりやすく解説します。
1.563Aとは?NASDAQ100と毎月分配を組み合わせたETF
563Aは、グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETFという名称の上場投資信託です。
2026年4月23日に東京証券取引所へ上場しました。
最大の特徴は、NASDAQ100に関連する値上がり益を狙いながら、オプション取引による収入を活用して分配金の獲得を目指していることです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄名 | グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF |
| 証券コード | 563A |
| 運用会社 | Global X Japan |
| 上場日 | 2026年4月23日 |
| 投資対象 | 韓国上場ETFを通じた米国株式・関連オプションへの投資 |
| 分配頻度 | 毎月 |
| 決算日 | 原則として毎月10日 |
| 売買単位 | 1口 |
| 実質的な運用管理費用 | 年率0.2775%程度 |
| NISA | 成長投資枠の対象外 |
一般的なNASDAQ100連動ETFでは、NASDAQ100の値動きを捉え、株価の上昇や構成銘柄の配当などによるリターンを目指します。
一方、563Aはそれだけではありません。NASDAQ100に関連するコール・オプションを原則として日次で売却し、オプション・プレミアムと呼ばれる収入の獲得も目指します。
つまり、株価の値上がり益だけでなく、オプション取引から得られる収入も活用する仕組みです。
毎月の分配金を重視する投資家にとって、気になる存在といえるでしょう。
2.563Aの構成銘柄は?実際には何に投資しているのか
563Aを調べるうえで、最初に理解しておきたいのが投資対象です。
563Aは、米国のNASDAQ100構成銘柄を直接まとめて保有する一般的なETFとは異なります。
韓国市場に上場する「TIGER US NASDAQ100 Target Daily Covered Call」というETFを通じて、米国株式と関連するオプション取引に投資します。
そのため、563Aの保有資産を確認したときに、米国の個別株だけがずらりと並んでいるとは限りません。投資対象ETFの受益証券や、先物・為替などに関連する資産が表示される場合もあります。
実質的にどのような企業に投資しているのか?
563Aが連動を目指す指数は、NASDAQ100に関連したカバード・コール戦略を反映したものです。
そのため、経済的な投資対象としては、NASDAQ100を代表する大型企業群が重要になります。
| 代表的な企業 | 主な事業分野 |
|---|---|
| NVIDIA(エヌビディア) | AI向け半導体・GPU |
| Apple(アップル) | スマートフォン・IT機器 |
| Microsoft(マイクロソフト) | ソフトウェア・クラウド・AI |
| Amazon(アマゾン) | ネット通販・クラウド |
| Alphabet(アルファベット) | 検索・広告・クラウド・AI |
| Broadcom(ブロードコム) | 半導体・インフラソフトウェア |
※上記はNASDAQ100を代表する企業の例です。563Aがこれらの企業の株式を直接保有しているという意味ではありません。また、NASDAQ100の構成銘柄や各社の構成比率は変更されるため、実際の投資対象は最新の運用資料で確認してください。
このように、563AはAIや半導体、クラウドなど、成長が期待される米国大型企業の値動きと関係するETFです。
ただし、通常のNASDAQ100連動ETFと同じように値上がり益をすべて享受できるわけではありません。ここが563Aを理解するうえで非常に重要なポイントです。
3.カバード・コール戦略とは?
563Aを理解するためには、「カバード・コール」という言葉を押さえておく必要があります。
簡単にいうと、株式などの値上がりを狙うポジションを持ちながら、将来の一定価格で買う権利に関連するコール・オプションを売却し、その対価としてプレミアムを受け取る戦略です。
難しそうに聞こえますが、イメージとしては次のようになります。
- NASDAQ100に関連する投資を行う
- コール・オプションを売却する
- オプションの売却によってプレミアム収入を得る
- その収入などを活用して分配金の獲得を目指す
ただし、オプションを売却すると、相場が大きく上昇した場合に、通常のNASDAQ100連動商品ほど値上がり益を享受できないことがあります。
その代わり、オプション・プレミアムを獲得できる可能性があります。
つまり、値上がり益の一部を得る機会と引き換えに、オプション収入を狙う仕組みと考えるとわかりやすいでしょう。
563Aでは、翌営業日が満期となるデイリー・オプションを活用する設計が特徴です。
相場の変動が大きい局面ではオプション・プレミアムの獲得機会が増える可能性がありますが、相場の状況によって収入は変動します。プレミアムがあるからといって、元本や分配金が保証されるわけではありません。
4.563Aの分配金実績は?毎月いくらもらえる?
投資家として最も気になるのが、やはり分配金です。
563Aは毎月分配を目指すETFで、2026年7月に初回の分配を行いました。
| 決算日 | 100口当たり分配金 | 1口当たり分配金 |
|---|---|---|
| 2026年7月10日 | 1,400円 | 14円 |
| 2026年8月10日 | 900円 | 9円 |
| 2026年9月10日 | 1,000円 | 10円 |
| 2026年10月10日 | 1,100円 | 11円 |
※金額は税引前です。将来の分配金を保証するものではありません。
これまでの分配金は、100口当たり900円から1,400円の範囲で推移しています。
ただし、まだ上場から半年ほどしか経過していない新しいETFです。長期間の実績がないため、過去の分配金だけで今後の収入を予測するのは難しい状況です。
30口保有した場合の分配金は?
例えば、100口当たり1,100円の分配金だった場合、1口当たりでは11円です。
| 保有口数 | 1回の分配金 |
|---|---|
| 10口 | 110円 |
| 30口 | 330円 |
| 50口 | 550円 |
| 100口 | 1,100円 |
| 1,000口 | 11,000円 |
※100口当たり1,100円の分配金が支払われたと仮定した試算です。実際の分配金は毎月変動します。税金や手数料も考慮していません。
30口保有していれば、1回の分配金が330円という計算になります。
金額だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、分配金を受け取りながら再投資することも可能です。ただし、ETFの分配金は自動再投資されないため、再投資する場合は自分で買い付ける必要があります。
5.分配金利回り15%は本当なのか?
563Aについて調べていると、「年率15%程度の分配利回りを目指す」という説明を目にします。
ここで注意したいのは、年率15%という数字は、実際の分配金利回りが15%になると約束しているものではないという点です。
563Aは、年率15%程度のオプション・プレミアムの獲得を目標とする指数への連動を目指しています。
しかし、実際に投資家へ支払われる分配金は、投資対象ETFから受け取る分配金や費用、税金、資金流入・流出などの影響を受けます。
そのため、指数が目標とするプレミアムの水準と、実際の分配金から計算した利回りは一致するとは限りません。
分配金利回りを計算するときの注意点
仮に1口1,000円で購入し、毎月平均12円の分配金を受け取れたとします。
年間分配金は次の計算になります。
12円 × 12か月 = 年間144円
購入価格1,000円に対する分配金利回りは、税引前で14.4%となります。
ただし、これはあくまで仮定の計算です。毎月12円の分配金が続く保証はありません。
また、分配金を受け取っていても、ETFの価格が1,000円から850円に下がれば、値下がりによる損失が発生します。
例えば、1,000円で購入したETFが850円になり、年間144円の分配金を受け取った場合、税金などを考慮する前のトータル損益は次のようになります。
値下がり損失150円 + 分配金144円 = マイナス6円
このように、分配金利回りだけで投資成果を判断するのは危険です。
大切なのは、受け取った分配金だけでなく、ETFの価格変動も含めたトータルリターンで考えることです。
6.今後の見通しと将来性
563Aの今後を考えるうえで、注目したいポイントは大きく4つあります。
① NASDAQ100関連企業の成長を取り込める可能性
NASDAQ100には、AI、半導体、クラウド、ソフトウェアなどの分野を代表する企業が含まれています。
今後もAI関連投資やデータセンター需要が拡大し、関連企業の業績が伸びれば、NASDAQ100の値上がりにつながる可能性があります。
563AはNASDAQ100に関連する投資を行うため、こうした成長の恩恵を受けられる可能性があります。
ただし、カバード・コール戦略を採用しているため、相場が急上昇した場合には、一般的なNASDAQ100連動ETFと比べて値上がり益が限定されることがあります。
NASDAQ100が上昇すれば、必ず563Aも同じ割合で上昇するわけではありません。
② 相場が大きく動く局面ではオプション収入に期待
オプション・プレミアムは、市場の変動性などの影響を受けます。
相場の変動が大きい局面では、オプション・プレミアムの獲得機会が増える可能性があります。
その一方で、相場が急落すれば、NASDAQ100関連資産の値下がりによってETFの価格が下落するリスクがあります。
オプション収入があるからといって、相場下落を完全に防げるわけではありません。
つまり、値動きが大きい相場では収入獲得の機会がある一方、投資元本も大きく変動する可能性があるということです。
③ 円高・円安の影響を受ける
563Aは日本円で売買できますが、投資対象は米国株式や米国のオプションに関連しています。
そのため、米ドルと円の為替変動の影響を受けます。
例えば、米国株式やオプションの価値が変わらなくても、円高が進むと、円換算した資産価値が下がる可能性があります。
反対に、円安が進めば、円換算した資産価値にプラスの影響が生じる可能性があります。
米国株式の動きだけでなく、為替相場にも注意したいところです。
④ 新しいETFなので長期実績の確認が必要
563Aは2026年4月に上場したばかりのETFです。
現時点では、数年間にわたる分配金の推移や、下落相場での値動きなどを十分に確認できません。
今後、米国株式市場が大きく上昇する局面、横ばいで推移する局面、急落する局面で、どのような値動きになるかを見ていく必要があります。
特に、毎月の分配金がどの程度安定するのか、分配金を含めたトータルリターンがどう推移するのかは、今後の重要な確認ポイントです。
7.563Aの良い点5つ
- ① 毎月分配を目指すETFで、定期的な収入を期待できる
- ② NASDAQ100関連の投資を通じて米国大型成長企業の値動きを取り込める可能性がある
- ③ オプション・プレミアムの獲得を目指す独自の仕組みがある
- ④ 1口単位で購入でき、少額から投資を始められる
- ⑤ 実質的な運用管理費用は年率0.2775%程度である
8.563Aの悪い点・注意点5つ
- ① 毎月の分配金は変動し、将来の金額は保証されていない
- ② 年率15%程度という目標は、実際の分配金利回りを保証するものではない
- ③ カバード・コール戦略により、NASDAQ100が急上昇した際の値上がり益が限定される可能性がある
- ④ 米国株式の下落や円高によって、投資元本が減少する可能性がある
- ⑤ 上場から日が浅く、長期的な分配金やトータルリターンの実績が十分ではない
9.563Aは投資すべき?私なりの投資判断
563Aは、毎月の分配金を重視する投資家にとって、興味深い選択肢です。
NASDAQ100関連の投資を行いながら、オプション・プレミアムを活用して収入の獲得を目指すという仕組みは、一般的なインデックスETFとは異なる魅力があります。
特に、資産を取り崩すだけでなく、定期的な収入を受け取りたい人にとっては、検討する価値がある商品といえるでしょう。
ただし、私なら563Aを資産運用の中心に据えるのではなく、ポートフォリオの一部で分配金を狙う商品として位置づけます。
理由は、分配金の金額が安定しているとは限らず、ETFの価格自体も下落する可能性があるからです。
また、NASDAQ100が大きく上昇する局面では、通常のNASDAQ100連動ETFのほうが高いリターンを得られる可能性があります。反対に、相場が大きく下落した場合には、563Aも値下がりするリスクがあります。
そのため、値上がり益を重視する資産と、定期的な分配金を重視する資産を分けて考える方法もあります。
例えば、長期的な資産成長を狙うインデックス投資を基本とし、その一部に563Aを組み入れて毎月の収入を狙う方法です。
もちろん、どの程度の割合を組み入れるかは、投資目的やリスク許容度によって異なります。
また、563AはNISAの成長投資枠の対象外です。課税口座で保有する場合は、分配金にかかる税金も考慮する必要があります。
分配金の多さだけで購入するのではなく、値動きや税引後の収入、分配金を含めたトータルリターンを確認しながら、無理のない範囲で活用したい商品です。
10.まとめ:563Aは分配金の魅力と値下がりリスクを理解して活用したいETF
グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF(563A)は、NASDAQ100関連の投資とカバード・コール戦略を組み合わせ、毎月の分配金を目指すETFです。
2026年7月から10月までの分配金は、100口当たり1,400円、900円、1,000円、1,100円と推移しています。
毎月分配という仕組みは魅力的ですが、分配金の金額は変動します。また、年率15%程度という目標は、実際の分配金利回りが15%になることを保証するものではありません。
さらに、カバード・コール戦略には、相場が大きく上昇したときの値上がり益が限定される可能性があります。米国株式の下落や円高によって、投資元本が減少するリスクもあります。
毎月お金が入ってくるのはうれしいものですが、分配金を受け取ることと、資産が増えることは別の話です。
分配金という果実を楽しみながらも、その果実を生み出す木が元気に育っているかを確認することが大切です。
563Aは、仕組みを理解したうえでポートフォリオの一部として活用するなら、検討する価値のあるETFだと考えます。
今後は、毎月の分配金だけでなく、投資口価格の推移や分配金込みのトータルリターンにも注目していきたいですね。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。分配金・運用実績・手数料などは変更される可能性があります。投資判断にあたっては、最新の公式資料や交付目論見書をご確認ください。


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